【イベントレポート】「いのちの場所」こども食堂~すべての子どもが希望を持てる葛飾に~

こども食堂

東京都葛飾区にて「かつしか区民大学講座」としてNPO豊島子どもWAKUWAKUネットワーク理事長の栗林知絵子さんの登壇がありました。

テーマは「いのちの場所」こども食堂~すべての子どもが希望を持てる葛飾に~。

ナビゲーターは今回の開催場所でもある葛飾区の地域ネットワーク代表でこども食堂を3ヶ所運営する緒方。
そんな緒方も栗林さんに出会い、こども食堂を開設する事を決意したとの事。

今回は前半に栗林さんのご登壇、後半は葛飾区で活動されている団体の方々によるパネルディスカッション。
まずは栗林さんの活動のご紹介から登壇がスタート。

2011年より実家を使っての学習支援を開始し、当時中学生だった子の受験勉強を手伝うところから、2012年にこども食堂としての活動を開始したとの事。現在はプレーパーク、ホームスタート、パントリーピックアップ、無料学習支援、など多岐に渡っているとの事でした。

 

次のテーマとしては、栗林さんが見えてきたもの。豊島区では保育園は1/3、小学校も1/4が外国人の子ども達との事。フィリピン、ネパール、チャイナという3つの国の親子を招いての子ども食堂を開催し、食を通して、困り事を聞き出す事が出来たという。

また、ニーズが見えて来たとしても経済的に解決できない問題もある。そこで生まれたのが「パントリーピックアッププロジェクト」。学習支援の場所に食材を持ち込み、誰でも持ち帰って貰う仕組みをスタート。今では食材だけでなく、衣料品や日用品も提供している。この流れから、「チャリティーこども食堂」を開催し、お祝い金の寄付を開始。その後、ロータリークラブさんと連携して電子辞書をプレゼントする活動にも発展したとの事。お祝い金は単純に渡すだけでなく、それを取りに来た親御さんから悩みを聞き出す事が大事であると栗林さん。

また、一人親で家ではなかなかパーティーが出来ない子たちを目の当たりにし、クリスマスパーティーを開催して、学生ボランティアのオーケストラ、日芸の先生による飾り付けなどを行うところから、最近では行政とも連携して、劇場も使ってのクリスマスパーティーも開催するまでに至ったという事例を紹介。

この連携により、こども食堂や学習支援に通うこども達に無料の招待チケットをプレゼントするような芸術鑑賞の活動にも繋がったとの事。

 

こども食堂の活動が行政を巻き込んで、新しい活動に繋がるという素敵な事例だなと思いました。

栗林さん達の活動はネットワークとして活動する事で、未就学児から小中学生、高校生だけでなく、大人もシニアも支え合う地域の連携が生まれる事になったとの事でした。

 

最後に栗林さんから「柿の木のおばあちゃん」の事例を紹介。

引越しを検討していたおばあちゃんと娘さんが実家を改装して始めた子ども食堂。たった月2回のこども食堂の開催でしたが、その後に入院してしまったおばあちゃんを地域のボランティアさんが手助けし、家に戻って天寿を全うされた時も、たくさんの地域の方や子ども達に見送られたとの事。

 

こうした「子ども」だけではない地域の繋がりが生まれる事こそが「こども食堂」の本来持つ役割だとして、栗林さんの登壇は締め括られました。

後半は葛飾区の団体によるパネルディスカッション。
栗林さん緒方に加えて、学習支援活動を行うNPO法人ハーフタイム代表で石原、こども食堂「みんかふぇ」を運営するパルシックの大坂、同じくこども食堂「あったかキッチン水元」を運営する岡村と当ネットワークのメンバーが登壇。
それぞれの活動から見受けられた「相対的貧困」や「関係性の貧困」の事例を紹介しました。

日本のしかも東京の葛飾区という場所で本当に『貧困な子どもなんているのか?』という疑問はよく持たれるという事でしたが、やはり運営してみると公的な福祉の網からは漏れる「相対的貧困」や「関係性の貧困」であろうとい子どもは見受けられるとの報告を行いました。ボランティアに参加する事で、大人やシニアにとっても変化が見られると言い「第3の場所」は全世代とって必要なものだと感じているとの事。また、持ち家があったり、一見裕福そうに見える家庭でも食費が足りない、文房具が買えないなど困窮している家庭があるという事例も紹介。

最後に緒方から葛飾区のネットワークの紹介。
葛飾区でも『かつしか子ども食堂・居場所作りネットワーク』が発足し、10団体12ヶ所が稼働しています。

最後に栗林さんから「地域の子どもたちの課題を解決してあげられるのは、やはり地域の方々、是非一緒に世界の色を変えて行きましょう」というメッセージを頂き、結びとなりました。

 

 

 

かつしか子ども食堂・居場所作りネットワーク事務局 森谷